茶色がかったその見た目は紅茶の葉の開いた姿に似ている。前菜や米やサラダの付け合わせによく使われる。その料理の風味を増す高い特性から、ひじきはヒリョウズ(豆腐と野菜とひじきのフリッター)作りにおいて重要な素材といえる。ヒリョウズは日本のお寺で提供される精進料理(または“信仰の料理”、ビーガン料理で構成される)のなかでも伝統的な料理である。 三重県で採取されるひじきは“伊勢ひじき”と呼ばれる。日本の他の地域で採られるひじきとは異なり、肉厚でしっかりした質感に加え、繊維が長くて太いという特徴がある。 ドローンと海藻 ひじきは通常、生では食さないが、産地のごく一部では若い芽を湯通しして食すことがある。カネウフーズはひじきの乾燥加工を専門におこなっている企業だ。同社は明治時代の1872年に「カネウ」という名前で設立されて以来、大きな改編を経て1996年に現在の「カネウフーズ」となった。海のすぐ近くに位置し、主にこの地域で採取されたワカメ、アオサ、アラメなど様々な海藻を調達し、加工、販売を行なっている。 ひじきは強い海流が遮断される岩場で成長する。伝統的な漁法としては、採取者を乗せた舟は干潮時に海に出て、鎌を使って手でその海藻を集める。今日、カネウフーズでは、ひじきの採取場の探知と成育状況の確認のためにドローンを利用している。この方法を使うことにより、干潮の時間を最大限に生かしながらひじき採取にかかる時間とリスクを軽減している。船がいっぱいになると船は港に戻り、海藻は処理プラントに運ばれ、そこで天日干しされる。 天日干しされたひじきは真水で戻して脱塩、洗浄され、蒸し上げられ、乾燥させた後、機械にかけて処理される。まず、乾燥空気流を使って小石や金属などの重い物体と軽い物体を分離し、不純物を取り除く。その後、次の機械に通し色の違いで同様の作業を実施する。 最後にひじきは別の部屋に移され、女性を主として構成されるチームが手作業で乾燥させた大量のひじきの質の確認と異物の混入を再検査するのである。 昔ながらの香り カネウフーズは海藻にかかわる事業のみに従事してきたわけではなく、料理に“うまみ”を加えるために日本料理によく利用される、マグロの燻製“かつおぶし”を生産していた時代もあった。かつおぶしは我々スペイン人の“mojama(塩干ししたマグロで、バルのおつまみ)”と似ている。カネウフーズは手火山と呼ばれる古くから伝わる技術を使ってかつおぶしを生産していた。手火山製法は、マグロが乾燥するまで薪による燻しと直火での加熱をゆっくりと繰り返す方法。この製法を利用すると、均質な乾燥ができるだけでなく、風味を増幅させ、栄養素の大部分を保持することができる。今日、江戸時代から続くこの製法は、マルテンという企業によって志摩市で利用され続けている。
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